本文へ移動します

相垣 敏郎 教授

相垣 敏郎 教授

都市教養学部 理工学系 生命科学コース
相垣 敏郎 教授

キーワード:
遺伝子, 環境, ショウジョウバエ

「太る」「太らない」は、遺伝子のせい? 環境が決める遺伝子の働き

イメージ1
遺伝子の働き

遺伝情報を共有する親子の体型や性格が似ていることはしばしばあります。近年、がんや糖尿病など、さまざまな病気について、関係する遺伝子が見つかってきています。これらの中には、遺伝的な影響が強いものもありますが、多くの場合、病気になる確率が統計学的に少し高いという程度のものです。

遺伝子の謎

遺伝子は体を作っている部品の情報です。生物の形や機能がきまる過程は複雑で、多数の部品が多段階的に関与します。遺伝子の機能は環境の影響を受けます。
「太りやすい(脂肪がたまりやすい)体質」とか、「いくら食べてもやせている」というタイプの人がいます。これらは環境因子の影響がよくわかる例です。炭水化物や脂肪の代謝を調節している遺伝子の働きが関係していますが、どんな食物をとっているのか、運動はしているかなど、生活習慣による影響が大きいのです。

遺伝子と環境

ヒトには約2万5千個の遺伝子がありますが、それらのすべてが、いつも部品を作っているわけではありません。部品を作っているときが遺伝子のスイッチが「オン」の状態とすれば、そうでない「オフ」のときもあります。環境の変化が遺伝子の「オン」や「オフ」に影響する例として、栄養状態と脂肪代謝に関係する遺伝子があげられます。肥満はこの仕組みと密接に関係しています。
人類の長い歴史で、食物が十分あるという環境はまれで、安定的に食物を得るのは困難であったと考えられます。食物を摂ったときには、脂肪をためるために必要な代謝の遺伝子が「オン」となり、食物がないときには、脂肪を分解してエネルギーを取り出す仕組みをもつことがとても重要でした。しかし、現代のように食物が十分ある環境では、脂肪をためるほうに偏ってしまい、その結果、肥満になってしまうのです。最近では、食物と肥満や病気の関係を遺伝子の働きの観点から解明する研究が盛んに行われています。

ショウジョウバエはスゴイ! 実験生物が解き明かす生命の秘密

イメージ2
さまざまな研究に貢献するショウジョウバエ

ショウジョウバエは体長3ミリほどで赤い目を持ち、熟した果物などの自然酵母をエサに育ちます。台所の生ごみの周りで飛び回っているのを見たことがあるでしょう。小さい上に珍しくもなく、しかも「ハエ」という属性もあり、ほとんど顧みられないショウジョウバエですが、実は、極めて優れた実験生物です。卵から親になるまで10日と短い上、目の色や羽の形など、身体的な特徴が明らかなことから、古くから多くの交配実験に利用され、近年は、遺伝子の研究に利用されています。

遺伝子を操作して生命現象の因果関係を探る

生物の機能を司るのは遺伝子で、遺伝子のスイッチが「オン」か「オフ」かにより、生物の機能は変わってきますが、どの遺伝子がどの機能に影響しているかは、まだ解明されていません。そうした遺伝子の働きを調べるのに、ショウジョウバエが利用されているのです。
例えば、人間の体のある機能が低下するとき、早く死んでしまう遺伝子があるとします。しかし、こうした現象を多数集めただけでは、両者の因果関係を証明することはできません。そこで、その遺伝子の働きを強くしたショウジョウバエを作り、体のその機能の衰え具合を調べ、機能の衰えが確認できなければ、その遺伝子が体のその機能と衰えに関係していることが証明できます。

ショウジョウバエと人間は似ている!?

人間のような高等動物の身体機能を調べるのに、ショウジョウバエを使った研究で得た結果が有効なのかと疑問に思う人もいるでしょう。ショウジョウバエの遺伝子の数は1万5000、一方、人間の遺伝子の数は2万5000ですが、生物としての基本的仕組みは、ショウジョウバエも人間もそれほど差がありません。高等生物に見られるような現象がショウジョウバエでもかなり多く見られるため、ショウジョウバエを用いた実験から得られた知識は、人間にも適用でき、老化や病気の原因の解明にも役立てることができるのです。

高校生・受験生の皆さんへのメッセージ

進路を考える時に、自分が将来やりたいことがよくわからないという人もいるでしょう。そういう人は、少しでも興味のあるものがあったら、足を踏み入れてみ ることをお勧めします。もしかしたら、それがとても面白くなるかもしれませんし、逆に、全く面白くないかもしれません。「面白くないこと」がわかっただけ でも意義はあります。
どんな年齢でも、その年齢なりに真剣勝負をしなければ、見えてくるものはありません。「面白そうなことに挑戦してみること」が大切です。

夢ナビ編集部監修

ページトップへ