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朝香 卓也 教授

朝香 卓也 教授

システムデザイン学部 経営システムデザインコース
朝香 卓也 教授

キーワード:
ユビキタス, 通信, センサーネットワーク

効率的な配信を実現するPeer-to-Peerネットワークの可能性

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配信がスムーズにいかないのはなぜ?

動画配信サービスのYouTubeで動画を見るときに映像が途切れたり、携帯電話の着うたをダウンロードするときに時間がかかったりしてイライラした経験はありませんか? 現状の音楽や画像などの大容量デジタルコンテンツの配信システムでは、特定の場所にサーバを設けて、そこにユーザーがアクセスし、ダウンロードする形が主流となっています。このようなシステムをクライアントサーバ型と呼びます。この場合、ユーザーのアクセスが集中しすぎると、サーバに負荷がかかってさまざまなトラブルが起こります。YouTubeの動画の長さが10分程度に限られているのも、画面が小さいのも、ファイルの要領を小さくしてサーバへの負担を軽くするためです。またユーザーとサーバとの距離が遠くなるほど、ダウンロードに時間がかかります。そのようなストレスを軽減していくため、次世代配信システムの研究が進められています。

Peer-to-Peerネットワークとは?

サーバを持たない配信システムとして注目されているのがPeer-to-Peer(ピア・ツー・ピア、P2P)ネットワークです。これはPeerと呼ばれる1端末同士でコンテンツをやりとりするもので、個々のパソコンがサーバになってファイルをコピーする形で広めていき、どこからでも身近なPeerからダウンロードできるようにするものです。ただしコンテンツを持つ全てのPeerが電源を落としている間はダウンロードできません。このようなファイルの拡散状況やダウンロードの可否などの情報を管理するサービスがあれば、より効率的な配信が実現できると考えられています。

今後の可能性

Peer-to-Peerネットワークは今後アプリケーションサービス面での品質アップが期待できますし、大きな設備投資が不要なので、広告媒体のようなビジネスモデルにもフィットしやすくなります。主流になるかどうかは、しばらく既存のシステムと共存する形で試された後に決まるでしょう。

ユビキタスサービスで快適な生活空間や職場環境をサポート

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ユビキタスネットワークとは何か?

ユビキタスという言葉を聞いたことがありますか。目に見えない形で、いつでも、どこでも、誰でも恩恵を受けることができる環境や技術を指しています。特に通信の分野では「ユビキタスネットワーク」といって、身の回りのものに埋め込まれたセンサーや通信機器の一つひとつが自律分散的にネットワークを構築し、快適な生活空間や職場環境をサポートする技術として研究されています。

無線のマルチホップ・センサーネットワーク

具体的なネットワーク構築の例として、畑のあちこちにセンサーを置き、それぞれの場の気温や作物の密集具合、成長状況などを管理するという使い方があります。また、工場においてどの生産ラインがどこまで作業が進み、いくつの製品ができあがっているかなどを把握する生産管理的な使い方などが挙げられます。つまり、ある環境内の情報を集約し、分析していく形での応用です。

これらの場合、各センサーは環境内の各フィールドに埋め込まれているので、有線でつなげることは難しく、無線で情報を飛ばすネットワークになります。通信用語で、マルチホップ・センサーネットワークと呼ばれるものです。

デバイス(機器)や通信内容をシミュレーション

ユビキタスネットワークサービスを実用化していくために、センサーや通信機器の組み合わせ、センシング(検知)するデータの容量などを考慮したシミュレーションを行い、効率的なネットワークの制御方法を考えていきます。例えばセンサーは、センシングそのものと、得られたデータを発信することに電力を使います。バッテリーを長持ちさせるためには、発信の電波が弱いもので済むよう、中継ポイントの場所や間隔を調整します。またあるエリアの一番高い数値だけを知りたい場合は2番目以降の数値はいらないので、そのエリア内でデータを集約して必要な数値だけを取り出せば、通信にかかる負荷が軽減されるわけです。さまざまな機器の機能やその制御によって、最も適切なユビキタスネットワークが構築されるのです。

高校生・受験生の皆さんへのメッセージ

システムデザインの分野は、時代の最先端をいく学問の一つと言えるでしょう。だから日進月歩で、どういう技術が出てくるかわかりません。今あるYouTubeが10年後も同じ形であるとは限らず、もっと新しいネットワークサービスが出てくるかもしれません。既存の焼き直しでない新しい技術を開拓できるという意味では楽しい分野ではないでしょうか。私の座右の銘は「一発ホームランよりヒットの積み重ねをめざす」です。新しいジャンルだからこそ、画期的なものを狙うより、着実に駒を進めて開拓することが大事だと考えています。


夢ナビ編集部監修

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