本文へ移動します

梶原 康博 教授

梶原 康博 教授

システムデザイン学部
経営システムデザインコース
梶原 康博 教授

キーワード:
生産性, 画像処理, 赤外線

企業や工場はどうやって生産性をアップさせているのか?

イメージ1
商品の価格はどうやって決められるの?

製造者が商品の販売価格を決定できることはまれです。作ってから製造原価に利益を上乗せする方法で価格を決定していては、市場競争に勝てなくなったからです。売れる商品ほど競合相手は多くなります。またどんどん新製品が発売されますから、対抗するためには価格を下げざるをえません。しかし利益はなるべく残したいですし、人件費や材料費も簡単には削れません。したがって生産性を上げることでコストを下げるという方法が採られるのです。

生産性をアップするには?

生産性の指標の一つに生産数量/(人数×時間)があります。生産数量は注文量以上にはできません。したがって、生産性を高めるために、自動化により人数を減らすか、ムダな時間(動作)を減らすための見直しが行われます。生産システムの見直しでは、まず作業風景をビデオ撮影し、無駄な動きを探すことから始まります。大手自動車会社ともなると再生速度を100分の1に落とし、数センチ単位の動きまで吟味します。逆に生産性の低い工場のよくあるパターンとしては、モデルチェンジや機種の増加に生産ラインを対応させていないことがあります。複数の製品の材料が混在した生産ラインを無理に使い続け、作業待ちを生んでしまっているのです。あるいは流れ作業だったものを各自が完結する形に変えることで生産性が上がることもあります。

国内工場の現状は?

工場内には組み立てだけでなく、部品を探す、運ぶといった作業もあります。そうした作業は付加価値を生み出さないため、無人搬送車やベルトコンベアを使い、作業者のそばへ運ぶ「手元化」を進めています。先進工場では、既にそれも一段落し、2010年代に入ってからは顧客のニーズに製品が応えていることを保証するために、製造過程のさまざまなデータの自動取得をめざした「品質保証の自動化」が進められています。一方、作業の手元化すらまだ十分ではない工場も多くあります。先進工場と手元化に取り組み中の工場が混在しているのが日本の現状です。

最新技術で、人間の作業をアシストする

イメージ1
カメラを使い目視検査を自動化する

工場で製品を作る際、材料や部品に混入している異物を取り除くための目視検査が行われます。しかし人間のすることに絶対はありませんし、例えば原料が小豆のようなものだとサイズや色合いのよく似た小石が混じっているなど、見極めが難しいこともあります。そこで作業のアシストに使われているのがカメラを用いた画像処理技術です。普通の石は通常のカメラ、小豆と似た色合いの石は赤外線カメラと、複数のカメラを使い分けて判別することによって精度を上げることができます。

大量のものを正確に数える

また出荷の際には、数百と積まれた製品をひとつずつ数えるという単純作業があります。鉄板のように一枚当たりの厚さが正確であれば全体の高さを測ることで枚数も導き出せるのですが、ベニヤ板のようなものだとそうはいきません。ベニヤ板は水分を含むと膨らみ、あるいは下の方は重さで圧縮されるなど、同じ枚数でも厚さが異なるからです。ほかにも熱交換器に使われる大量のパイプの清掃など、工場内には「数える」必要のある作業が意外にたくさんあります。そうした作業もカメラが手助けすることで、スムーズに行えるのです。

重いものを運ぶ

一方、部品や完成した製品の運搬も作業者の負担になっています。運搬は主に物流会社の作業員が担っているのですが、20キロ以上もある重い商品を何個も運ばなければならないなど、かなりの重労働もあります。身体への負担を軽減するためねじる動きをなくすなど、作業の動きを変えるのもひとつの手なのですが、作業効率が落ちてしまうケースが多いのです。
そこで、もともとは農作業や介護用に開発された、ゴムバンドの弾性や電動の仕掛け、人工筋肉などを動力に用いた人の動きをアシストするスーツ型の装置が注目されています。しかし付加価値を生まない作業にどれほどのコストをかけられるのかという点からも導入はなかなか進まず、汎用化までにはまだ課題が残されています。

高校生・受験生の皆さんへのメッセージ

製造企業は顧客が満足する商品を提供するだけでなく、多様な人材を多く雇用できることから地域社会の発展にも貢献しています。しかし、世界中の競合他社を品質や価格で凌駕するために、生産システムの設計・改善に継続して取り組む必要があります。生産システムの設計・改善という形で、ものづくりの仕事と関われることは、非常にやりがいのあることです。


夢ナビ編集部監修

ページトップへ