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ミニ講義 ― 首都大学東京の「学び」を体験!
児島 晃 教授

児島 晃 教授
H30再編後の所属
システムデザイン学部 機械システム工学科
児島 晃 教授 【教員紹介】
キーワード:
ロボット, 制御工学, スマートグリッド

モノに命を吹き込む! ~未来づくりに欠かせない「制御工学」~

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ロボットに必要な動きを与える

「システム制御工学」とは、モノに動きを与える、言い換えれば「モノに命を吹き込む」研究分野です。例えば、ロボットにどうやって動きを与えるのかを考え、システムを開発します。人間なら目や耳、鼻、皮膚といった感覚器から入ってくる情報を利用して、どう動くか、どれぐらいの力を入れるか、といった信号が脳から出され、骨や筋肉が動きます。ロボットを人間のように自由自在に動かすには、今どのような状態なのかを適切に把握し、それに対応して必要な動きができるようなシステムを設計しなければなりません。

人とモノが安全に協働するために

工場などでは人とロボットが一緒に作業をする機会が増えています。しかしロボットと協働する場面では、必ずロボットの動きに制約を与えなければ、作業者が危険にさらされてしまいます。例えば、「ロボットが作業者にぶつかってこないようにする」「想定した範囲内での動きにとどめる」といった「制御」が必要なのです。
モノを動かそうとするとき、事前に状態の変化や次の動作が予測できれば、その情報を利用してスムーズな動作ができます。このように予測情報を使って、モノが滑らかに動き、変化に素早く対応できるようにすることを「予測制御」といいます。また、予想外の変動に対しても、混乱することなく安定的な応答を可能にする制御のことは「ロバスト制御」といいます。ロバストとは「頑強な」という意味です。

制御の仕方でモノのキャラクターは変わる

このようにモノの「運動神経」をよくする、安定的に動くようにするなど、モノをどう制御するかによって、モノの「キャラクター」にも違いが表れます。現在、システム制御工学は、ディーゼルエンジンの排出ガス対策や、鉄鋼の製造システムのコントロールなど、さまざまな場面で応用されています。どのような制御をすれば私たちの社会に役立つモノやシステムがつくれるのかという研究は、未来を切り開いていく上で欠かせない研究なのです。

太陽光発電の有効活用のために、「制御工学」にできることとは?

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太陽光発電を効率よく運用するには?

太陽光発電の活用は、エネルギー資源や環境問題対策として大いに期待されています。しかし太陽光の発電量は天候に左右されるのはもちろん、日中は十分に発電できても、夜間に発電できないという問題があります。そのため日中に発電した分を蓄えて、夜間に使えるようにするなど、電力の需要に合わせ供給をコントロールする必要があります。太陽光発電を運用するには、日射量などの天候や、生活の中で必要な電力量といった予測情報を活用しながら、電力の供給システムを制御することが必要になります。

「スマートグリッド」は壮大な課題

安定的な電力供給を行うため、電力システムを制御するシステムは「スマートグリッド(次世代送電網)」と呼ばれています。天候に左右される太陽光発電の電力をどうすれば効率よく、また安定して巨大な電力システムの中で使うことができるのか、さまざまな企業や研究機関が共同研究に取り組んでいます。
例えば、発電量を調整できる火力発電を併用すれば、太陽光が足りなくても安定的な電力供給が可能になります。また、火力発電で調整できない場合は、どの程度、蓄電池で備えられるかも検討する必要があります。スマートグリッドは、街全体で取り組むことになる壮大なテーマなので、気象、電力システム、制御工学の専門家などがチームを組んで調査、研究を行っています。

想定外の変化にも対応できる仕組みづくりを

予測通りに物事が進まないことは多々あり、制御システムを組み立てる上では、あらかじめ想定外の変化にも柔軟に対応できるように備えておかなければなりません。このようなときには「予測制御」という分野の研究が役に立ちます。不確かなものに対しても動じない、強いシステムをつくるのも制御工学の大きなテーマで、「ロバスト(頑強な)制御」と呼ばれています。環境問題の解決にもつながるクリーンエネルギーへの転換実現には、制御工学が重要な役割を果たすことが期待されているのです。

高校生・受験生の皆さんへのメッセージ

理工学の分野にはさまざまな学科があり、どの専門分野に進めばよいのか悩んでいる人もいるかもしれません。しかし実際に社会でエンジニアとして活躍している人は、一つの専門分野を究めたから活躍しているわけではありません。一つの分野に軸足をしっかり置き、深く掘り下げた知識を基にしつつも、「今」必要な新しい分野を積極的に学びながら力を養っています。
まずは、あなた自身が一番知りたいことをめざして、進路を考えてはいかがでしょうか。


夢ナビ編集部監修

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