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金崎 雅博 准教授

システムデザイン学部 航空宇宙システム工学コース
金崎 雅博 准教授

キーワード:
デザイン(意匠), 航空, 宇宙

未来の航空機や宇宙機を創造する、エアフレーム・デザイン

超音速旅客機コンコルドの挫折

地球の空を飛ぶ航空機と、ロケットなどの宇宙機とでは、機体の形はまったく異なりますが、空間を利用すると言う基本的な目的は同一のものです。機体空力形状のデザイン、エアフレーム・デザインでは、技術的なことはもちろん、使用目的や社会的なニーズなど、さまざまな要素を考慮する必要があります。空気抵抗を少なくして速く飛ぶということも、考慮すべき要素の一つですが、大事なのはそれだけではありません。例えば、世界で初めて超音速というスピードで一般のお客さんを乗せた旅客機であるコンコルドは、燃費が悪く、騒音もひどかったためにあまり普及せず、現在では運航をしていません。

新しい航空機の形

現在、新たな形状として研究されている航空機のデザインとして、「翼胴融合機」があります。従来の航空機では、人が乗る胴体は主に円筒形になっていて、そこから左右に翼が伸びている形が主流です。しかし、空気力学的にいえば、抵抗にしかならない胴体部分を無くした翼だけの形のほうが無駄は無くなります。そこで、幅広で厚めの翼を胴体とみなした、魚のエイのような形をした翼胴複合機が提案されました。これは、従来のデザインに比べて、燃費や騒音の低減という点で優れているものです。

火星の空を飛ぶ航空機

地球の空だけでなく、火星の空を飛行探査するための航空機も研究されています。火星にはごく薄い大気があることがわかっていますので、それを利用します。火星探査機としては、地上走行型のものがすでにありますが、航空機であれば、上空からより広い範囲を観測できるほか、崖の断層を見ることもでき、火星の探査が大きく進むことが期待されています。
現在、当たり前に思われている航空機や宇宙機のデザインは、決して完成型というわけではありません。技術の進歩や社会的ニーズの変化、そして創造性によって、将来、まったく新しいデザインのものが誕生する可能性があるのです。

航空宇宙機の最適なデザインを考える「最適設計」

東京・大阪間をどう移動するか

私たちの身のまわりに起こる現実の問題は、ほぼすべて「多目的問題である」と言うことができます。例えば、どんなアルバイトをしようかと考えたときに、時給で決めるのか、仕事の楽さで決めるのか、選択の基準は一つではありません。このような多目的問題に対して、最適性を調べるのが、「多目的最適化」という作業です。東京から大阪に行く場合の、最適な交通手段を考えるとします。自家用車で行く方法、バスで行く方法、新幹線や飛行機で行く方法など、いくつか選択肢が考えられますが、どの方法も、最適ではないとは言えません。かかる費用を重視するのか、時間を重視するのかによって、最適な手段は異なってくるからです。ただし、選択の仕方によっては、費用も時間もそれなりにかかってしまうこともあり、そうした手段は最適とは言えなくなります。

最適な航空機の形とは?

航空宇宙機のデザインを考える場合も、多目的最適化が用いられます。航空機の設計をするときに、考えるべき要素としては、性能、燃費、重さ、騒音、製造コストなど、さまざまなものがありますが、飛行速度を上げようとすると、騒音が大きくなるなど、一方を向上させると一方が悪化するという項目が必ず出てきます。それらの項目を比較検討し、より目的にあった、最適な設計をする、それが、「多目的最適設計」というものです。多目的問題では最適な解は一つではないので、目的やニーズに応じて、機体のデザインは多種多様なものが考えられます。

失敗は決して無駄ではない

最適設計にあたっては、さまざまな設計パターンのシミュレーションを行います。膨大なシミュレーションを行う中で、最適ではない事例も多数発見されますが、それは、「最適化」としては失敗であっても、無駄な作業ではありません。失敗に関する情報を得られるのもシミュレーションの良いところです。悪い情報も知ることで、より最適な解に近づくことが可能になるのです。

高校生・受験生の皆さんへのメッセージ

あなたは高校で、国語、数学、英語など、いろいろな科目を一生懸命に勉強していることと思いますが、それぞれの科目のつながりについては、あまり考えたことはないのではないでしょうか。実は、深く勉強するにあたっては、それぞれの科目はつながっているのだという気づきがとても重要です。そのことに気づくのが遅いと、勉強がつまらないものになってしまいますから、科目のつながりを意識しながら、高校の勉強に励んでください。

夢ナビ編集部監修

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