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福地 一 教授

福地 一 教授

システムデザイン学部 航空宇宙システム工学コース
福地 一 教授

キーワード:
電波, 電磁波, 波長

火星の恋人と電波で通信

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火星にいる人と、対面会話ができる

最近は、パソコンで相手の顔を見ながら話ができるようになりました。ワイヤレス通信を使いパソコンを持ち歩けば、いつでもどこでも対面会話ができます。しかし、通信の最終目的はさらに心地よいものです。例えば将来、ある人が火星出張を命じられたとします。この人が火星から地球の家族や恋人と通信するときに、あたかも同じ部屋に座って、お互いが向かい合っているかのような状態で会話ができるのです。今の通信技術は、このような夢のようなことも可能にするのです。

「つながりたい」気持ちを実現する無線技術

人は寂しがり屋で、いつも人とつながりたいという気持ちを持っている側面があります。モールス信号、ラジオ、テレビ、携帯電話、衛星放送と、「つながりたい」気持ちを技術で実現してきたのが無線通信です。無線は電話線などの線を使わず、目に見えない電波に情報を乗せて送ります。

光と電波では「波長の合う」相手が違う

光通信という言葉を耳にしたことがあるでしょう。光をケーブルの中に通して情報を送ります。光も電波も電磁波の仲間ですが、光は直進性が強いため一般の無線通信には向きません。いっぽう電波は、あちこちへまわりこむ性質があるため、携帯電話などに向いているのです。
宇宙でも、光と電波は利用されています。例えばレーダーは、電波を測りたいものに向けて発信し返ってくる波の様子からものをとらえる仕組みです。同じ電磁波でも光と電波の性質は異なり、光は雲があると通り抜けできませんが、雨はOKです。電波は、雲は通れますが雨は通れません。これは、光の波長が雲を形作る一つひとつの粒と同じぐらいで、電波の波長は雲を作る粒より大きい雨粒と同じぐらいだからです。光と電波は、それぞれ「波長の合う」相手が違い、こういった特性を上手く利用して、人工衛星から地球を計測する技術の開発が進められています。

電波とは何だろう?

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電場と磁場が恋人のように寄り添う「電波」

昔の電話は、電話線につながっていないと通話できませんでした。しかし今は、無線の携帯電話を使うことができます。線がないのに、どうして通信できるのでしょう。それは、「電波」に情報を乗せて発信し、アンテナでキャッチして再生しているからです。テレビもラジオも電波を使って、遠隔の場所に情報を送っています。私たちの周囲には、目に見えない電波が飛びかっているのです。
電波の存在は昔から予想されていましたが、確かめたのはドイツの物理学者ヘルツ(1857-1894)です。電気が流れると、周囲に磁場ができます。この磁場が振動すると電場ができ、さらに磁場ができ……と、鎖の輪のように電場と磁場が交互にどんどんと発生します。これが電波です。
このあたかも恋人のように寄り添う電場と磁場の関係は、正確には「電磁波」と呼ばれます。最近は電磁波を悪いもの扱いする風潮があるようですが、電磁波全体を正しく理解している人は少ないようです。

あらゆるものが電磁波を出している

電磁波はもともとは自然界に広く存在するもので、生物も含めてあらゆるものが電磁波を出しています。ただ、これ以上温度が下がらないというマイナス273度の超低温の物質やブラックホールは電磁波を出しません。

電磁波は波長によって名前が違う

電磁波は波のように伝わりますが、ひとつの波の幅を「波長」と呼びます。ひと口に電磁波といっても波長によって性質が違います。波長がおよそ10のマイナス11乗メートル以下の電磁波は「ガンマ線」と呼ばれます。光も電磁波で、10のマイナス8乗メートルぐらいからマイナス4乗メートルに及びますが、目に見える可視光はその中のごく狭い範囲です。そして、10のマイナス4乗メートル(0.1ミリ)以上の波長の電磁波を「電波」と呼んでいます。波長が長い電波は使いやすく作りやすいことから、昔から通信に利用されてきたのです。

高校生・受験生の皆さんへのメッセージ

私は子どもの頃から、電気に興味を持っていました。そこで、国立高等専門学校の電気工学科に入り、さらに大学でも学び、電波研究所に就職し、現在に至ります。電波は目に見えません。同じ電磁波である光のうち紫外線や赤外線は目に見えません。この目に見えない面白いものを使いこなしているのが、通信分野やレーダーなどの計測分野です。あなたが電波や光に興味があるなら、ぜひいっしょに勉強しましょう。


夢ナビ編集部監修

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