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ミニ講義 ― 首都大学東京の「学び」を体験!
村田 啓子 教授

村田 啓子 教授
H30再編後の所属
経済経営学部 経済経営学科
経済学コース・経営学コース
村田 啓子 教授 【教員紹介】
キーワード:
日本経済, イノベーション, 経済格差

日本経済が直面する課題とその打開策としての「イノベーション」

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「経済学」の応用問題

日本経済は「デフレ」「財政赤字の拡大」「少子高齢化」や「人口減少」、「世界経済の変調」など多くの課題に直面しています。これらの問題を含め、日本経済について考えるには、「経済学」でその理論や考え方を学び、それを踏まえた上で、さまざまな現象を整理し、多面的に考えることが重要です。
経済学を学び、理論や考え方を踏まえて日本経済の姿を見直してみると、それを踏まえないよりずっと明瞭に経済の動きを理解することができます。つまり、日本経済を考えるということは、「経済学の応用問題を解いていく」ようなものなのです。

日本的雇用慣行の変化

その日本経済には、さまざまな大きな変化が起こっています。例えば、日本企業では長年、「終身雇用制度」とともに、「年功賃金」という雇用慣行が根づいていました。これは、新卒で、ある企業に入ったら辞めずに定年までずっと働き続け、長年勤めればそれだけ賃金が上がっていくというシステムです。ですが、そうした雇用慣行は、社会と経済の変化にともなって崩れてきました。40歳を過ぎる頃から賃金は上がらなくなる一方で、若者の離職率は高くなっています。一方で、パート・アルバイトなどの非正規雇用者が増加しています。経済の変化に対応して、労働市場も変化がみられているのです。

参考資料1:増加する非正規雇用者

高まる「イノベーション」への期待

資源の乏しい日本では、昔から教育に力を入れ、人材育成を重視してきました。優れた雇用者を活用して、世界有数の技術力を身につけ、貿易を生かしながら成長を維持してきたのです。現在、日本はGDP(国内総生産)がアメリカ、中国に次ぐ世界3位の経済大国です。しかし、その一方で、冒頭で紹介したように高齢化や財政赤字などさまざまな問題にも直面しています。
今後も日本経済の成長・発展を維持していくためには、労働者のさらなるスキルの向上と、「技術革新(イノベーション)」がますます重要になってくると考えられます。

参考資料1: 増加する非正規雇用者 外部リンク

「経済格差」って、本当に広がっているの?

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注目される「経済格差」問題

2000年代に入って以降、世界中で「格差」問題が注目されるようになりました。所得や資産が多い人と少ない人の差が広がっているというのです。例えばアメリカでは、裕福な1%の人が、国民すべての所得のうち2割以上を占めており、さらにその割合が増えつつあるというデータがあります。そうした中で、日本でも格差について議論されるようになりました。

日本における所得格差の実態

しかし、データをきちんと分析していくと、単純に所得格差が拡大しているとは言い切れないことがわかってきます。高齢者は退職すると所得はなくなるので、退職者が増えれば、全体として所得が低い人が増えていくことになります。これは、日本社会の高齢化にともなう人口構成の変化によるものです。ただし、退職した高齢者は年金という形で収入を得られるので貧困になっているわけではありません。働いて稼いでいる所得の数値だけを見ていると、格差は拡大しているように見えますが、税や社会保障も含めた「再分配後の所得」で考えれば、日本において所得格差は拡大していないことがわかります。

何が「経済的真実」か?

経済学では、こういった問題に対して、正しいデータに基づく実証分析を行います。物理や化学と違って、経済学では実験をすることがほとんどできません。そこで、現実の社会で起こっている現象を数値化し、分析することで、経済的真実を導き出すわけです。実証分析によって出された結論は、政策などに反映されます。社会保障や税によって国民に再分配するという政策も、それが本当に効率的なのか、公平なのかという観点で検討する必要があります。
格差問題を考える場合、単に格差を解消すればいいわけではありません。なぜその格差が生じているのかという、その背景を考えることが重要です。たくさん働いた人とあまり働いていない人が同じ所得だというのは、公平とは言えません。誰にでもチャレンジの機会があり、努力した人がその分だけ報われるという「機会の平等」が望ましいと考えられています。

高校生・受験生の皆さんへのメッセージ

自分に自信を持って、広い視野でいろいろなことを楽しんで学んでください。受験は大変で不安もあるでしょうが、毎日の積み重ねが自らの力になります。自分の未来を切りひらく切符を手にするためですから、少しだけ辛抱してください。
「経済」は、毎日の生活に欠かせない身近な問題です。賃金がなぜ上がらないのか、デフレの要因は何か、株価や為替レートが変動する理由は何か、日本おとび世界経済は今後どうなるのか、知りたいと思いませんか? 「経済学」は、誰にとっても重要で、一生役に立つ、とても面白い学問なのです。


夢ナビ編集部監修

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