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岡部 卓 教授

岡部 卓 教授

都市教養学部 人文・社会系 社会学コース
社会福祉学分野
岡部 卓 教授

キーワード:
生活保護, ワーキングプア, ソーシャルワーカー

困難な立場の人々を支える~社会保障の現在とこれから~

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「社会保障」とはどんな制度?

私たちは社会に出ると、自立した存在として生活を営んでいきますが、失業、労働災害、傷病、加齢など、さまざまな理由によって、時には自分だけの力で生活を維持するのが困難になる場合もあります。そのような苦境の人を支え、生活の回復維持・向上する手助けを行う施策が、「社会保障」です。社会保障には、年金や医療などあらかじめ生活困難に備え保険料を払い生じた時に給付を行う社会保険や、困窮する人々に最低限の生活を保障する公的扶助、養育・障がい・介護など個別の必要に対して主として対面的なサービスを行う社会福祉、疾病を予防し健康増進を図る公衆衛生などが含まれます。

世界各国の社会保障の特徴と違い

世界各国の社会保障を見てみると、例えば、北欧諸国は税金や保険料が高いのですが、その分、社会保障の制度は非常に手厚くて充実しています。一方、アメリカなど、何事も自己責任で行いどうしてもそれでは生活ができない場合に限り社会保障でという国もあります。日本は「国民皆保険・国民皆年金」という理念に基づいて各種制度は整っていますが、それぞれの水準や量がほかの国々と比べて十分であるかどうかは評価が分かれるところです。これからさらなる少子化・高齢化の時代を迎える日本では、今のままの社会保障では、さまざまな面で危惧されています。

お金だけでなく、「支え合いの文化」を育てていく

日本の社会保障を改善していくためには、単にお金に関する制度を変えるだけではうまくいきません。困難な立場にある人に対して、社会全体がどう動いていくべきなのか、教育や文化などの側面も含め、お金だけでは解決できないことにも取り組んでいく必要があります。
従来の家庭や学校、職場だけでなく、インターネットなどを活用した新たな形のコミュニティや社会的なネットワークを作ることによって、「支え合いの文化」を育てていくことも必要でしょう。未来の希望につながる社会保障を作るためには、社会全体での真摯な取り組みが求められているのです。

苦境にある人に寄り添い、支える、「ソーシャルワーカー」

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社会における古くて新しい問題「貧困」

貧困は、社会における、古くて新しい問題です。経済が循環していく中で、事故や病気、加齢、失業など、さまざまな事情で生活が立ち行かなくなった人々が置かれた状況が貧困です。日本には、貧困に窮する人々が健康で文化的な最低限の生活を送れるようにお金を支給する生活保護という制度がありますが、その受給者の数は年々増加し続けています。2014年4月の時点で生活保護を受給した人の数は、全国で約216万人と、20年前から倍以上にまで増えているのです。

苦境にある人々を個別にケアする必要性

人々が貧困となる原因や事情にはさまざまなものがあり、生活保護や雇用保険などの一般的な制度だけでは対応しきれない場合が多くあります。例えば、失業した後に雇用保険の給付期間を過ぎても新しい職を得られない人や、母子家庭などさまざまな理由のため、働いていても生活の維持に必要な収入を得られない「ワーキングプア」と言われる人などです。こうした苦境にある人々は、将来の展望が見出せない状況が固定化されてしまいがちなため、個別にケアをする必要があります。そのような人々をサポートする専門的な相談援助者が「ソーシャルワーカー」です。日本でのソーシャルワーカーという呼称は、国家資格でもある社会福祉士と精神保健福祉士の総称として使われています。

次のステップを踏めるようにするために

ソーシャルワーカーの役割は、さまざまな生活困難の人々に寄り添ってその苦悩をともにしながら、その人が課題を乗り越えて次のステップを踏めるようにするための手助けをすることです。相手の声に耳を傾け、共感し、ありのままを受け入れ、自分自身の価値判断を差し挟まないなど、難しい対人技術がソーシャルワーカーには求められます。
困難に直面した人々が再び幸せをつかめるように支援するソーシャルワーカーに対する社会的評価は、日本ではまだあまり高くありませんが、今後はもっと重要視されていくでしょう。

高校生・受験生の皆さんへのメッセージ

人は、よい状態・幸せな状態の時には、多くの人がその人の周囲に集まってきますが、困難な時は、その苦境が増すほど、周囲の人は離れていく傾向にあります。そのような時、その人に寄り添って苦悩や悲しみをともにし、生活課題の緩和・解決に関わるのが、「ソーシャルワーカー」です。人の困難に寄り添うのは、とても地道で、時にはつらい場面に向き合わなければなりませんが、人の幸せを実現できるよう側面から支援する社会的な使命を持った、とてもやりがいのある役割でもあります。興味のある人は、ぜひ首都大学東京で学んでください。


夢ナビ編集部監修

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