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西島 央 准教授

西島 央 准教授

都市教養学部 人文・社会系 心理学・教育学コース
教育学分野
西島 央 准教授

キーワード:
音楽, 学校, 蛍の光

音楽は、人と人とをつなぐ架け橋

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学校における音楽の役割

人間は生きていくために、集団を作ります。では「日本」や「学校」という集団の一員であることを、子どもにどう教えるのでしょうか。学校の中に注目すると、特に音楽の授業がその役割を担っていることがわかります。例えば、「ふるさと」や「春の小川」。誰もが曲を聞いたとき、脳裏に故郷のイメージが浮かびませんか。それぞれ幼年期を過ごした場所は違っても、このような歌を知っていることで「懐かしい」という意識はつながり、同じ集団の一員だと認識するのです。

宗教と組み合わせることでさらなる効果が

現代では「学校」や「国」が人々のまとまりの場になっています。歴史的にみると、かつては宗教がそうした場であり、そこでも音楽は使用されていました。代表的なバッハの「トッカータとフーガ」は(今となっては「クラシック」として、キリスト教徒以外の人にも広く鑑賞される曲ですが)最初は宗教曲でした。同じように仏教にも声明(しょうみょう)やご詠歌(えいか)がありますし、イスラム教はコーランそのものが音楽性を持った作りとなっています。こうした音楽が、集まる人々をまとめる役割を果たしていたのではないかと考えられます。

「蛍の光」は世界に名だたる大ベストセラー曲
一方、単一の楽曲として万国の人に深く根付いているのが、「蛍の光」の原曲として知られるスコットランド民謡「オールド・ラング・サイン」です。この曲は独立前後の韓国やモルディブ共和国などで国歌に使われたこともあり、古くから社会集団をまとめる役割を果たしてきました。もうひとつ、面白い共通点が日本とイギリスにあります。イギリスの国営放送BBCは毎年夏に「BBCプロムナードコンサート」という音楽祭を行うのですが、日本の「紅白歌合戦」と同様、このイベントでも「オールド・ラング・サイン」を最後に合唱するのです。このように、多くの国の人々をつなぎ合わせる力を持つ「蛍の光」は、ビートルズも真っ青な、歴史上に残る大ベストセラー曲だと言えるでしょう。

部活には勝敗よりも大事なものがある

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1回戦負けは無駄じゃない

スポーツには勝敗が付き物です。選手はもちろん、見る側も結果に一喜一憂します。最近では、目先の勝敗にとらわれる風潮が強まっていますが、高校生の部活の場合、運動部系の半数は1回戦で負けると大会が終わってしまいます。では、半数の高校生は意味のない活動をしていたのでしょうか? 決してそんなことはありません。例えば、テレビで高校野球やサッカーの中継を見れば、選手だけでなく、応援している学生も属している学校への意識が高まっている様子がわかります。いわば彼らは部活によってアイデンティティを構築し、生徒同士、部員同士のつながりを作っているのです。

部活のつながりは何十年も続く

部活を通して培ったつながりは学生時代だけに留まらず、卒業後も続いていきます。それこそ卒業から何十年も経っているのに、連絡を取り合うケースも少なくありません。同窓会のようにクラス単位でのつながりももちろんありますが、気軽に集まるのは、部活単位のほうが多いはずです。一緒に何かに打ち込んだ経験は学校で得られるどの授業よりも大きく、結びつきの強いものだと言えるでしょう。

今後、部活に期待される役割

近年、格差や貧困の問題は学校教育の場にも波及しています。これがもしひと昔前までであれば、教師は生徒の家庭状況を把握し、例えば家計が苦しく遠足にお弁当を持って来られない生徒がいれば代わりに作っていくような形で、ケアしていました。学校が金銭的に苦しい家庭をサポートする役目も担っていたのです。ところが現在はプライバシーや平等性への配慮から、教師は生徒の家庭状況を察することが難しいケースや、わかったとしても以前のようには手を出せない状況に陥っています。そうした家庭が見過ごされがちな中、この問題の解決に部活がひと役買う可能性があります。部員同士のネットワークが教師の代わりに、そうした家庭の生徒に手を差し伸べるのです。ますます格差社会が広がりつつある今、部活に求められる役割も増えています。

高校生・受験生の皆さんへのメッセージ

社会学とは、自分の育った環境や社会の仕組みと距離を置き、一歩引いたところから社会を冷静に観察する学問で、それを教育面に対象を焦点化したものが教育社会学となります。社会学同様、教育社会学も違う観点から社会を見ることで、今までと違った新しい世界が見える、面白い学問です。しかし同時に、自分が育ってきた環境の中で「普通」だと思い込んでいたことがそうではないと気づくこともあり、自分自身との葛藤が生まれます。そういう意味では慣れるまでに苦しみもある学問だと言えるでしょう。


夢ナビ編集部監修

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