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伊藤 祐子 准教授

伊藤 祐子 准教授

健康福祉学部 作業療法学科
伊藤 祐子 准教授

キーワード:
発達障がい, 作業療法, 子ども

遊びや運動を通じて、できることを増やす「作業療法」

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「作業療法」で生活の中の困難を解決する

障がいのある子どもは、日常生活の中で困難を感じていることがあります。例えば、自閉スペクトラム症(自閉症やアスペルガー障がい)など発達障がいのある子どもは、まっすぐ座っていることが苦手な場合があります。ですから、学校で落ち着いて授業を受けるのが難しくなります。こうした困難をなくし、少しでも支障なく生活できるようにするのが作業療法です。遊びや運動などの「作業」を行ったり、生活環境を工夫することで、できなかったことをできるように導いていきます。こうして障がいのある子どもを対象に行う作業療法を、「発達障がい領域の作業療法」と言います。

遊びの動作が、リハビリテーションになる

大人なら、楽しくない作業も頑張れるかもしれませんが、子どもはそうはいきません。そこで、作業自体を楽しくするための工夫が必要になります。子どもが楽しめる玩具作りもその一つです。例えば、作業療法でよく使われる玩具に、液体と小さなビーズを入れたペットボトルを2つつないだものがあります。上下をひっくり返すと液体とビーズが流れ落ち、動きを見たり、音を聞いたりして楽しめる仕組みです。これを、ひっくり返す時に手首をひねることも、子どもには難しい動作の練習になるのです。視覚や聴覚にも豊富に刺激を与えます。

より効果的な療法の確立にはエビデンスが不可欠

作業療法の理論は、通常の子育ての中でも役立ちます。例えば、体の動きを感じ取る前庭感覚(平衡感覚をつかさどる感覚)が上手く働かないと、まっすぐ立てない、姿勢を保てないなどの問題が起こります。作業療法では、ブランコで揺れる感覚を味わうなどしてこの感覚を養いますが、これは障がいの有無にかかわらず有効です。
こうした理論を確立するには、エビデンス(科学的な裏付け)が不可欠です。発達障がい領域では疾患も障がいもさまざまで、プログラムも個別のオリジナルなので、客観的なデータを集めづらいのですが、より効果的な療法の確立にはエビデンスの積み重ねが重要になるのです。

求められる「発達障がい領域の作業療法」の専門家

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身体と精神の両面から生活機能を改善する

「作業療法」とは、病気や障がいが原因で日常生活に困難を抱えている人が、その人らしく生活を送れるように手助けをするリハビリテーションの一種です。よく、理学療法との違いを聞かれますが、理学療法が運動機能の回復、特に歩く、立つなどの身体の基本的な大きな動きの回復をめざすのに対して、作業療法では「暮らし」全般がうまくできるようになることが目的です。着替えや食事、トイレなど日常生活の動作から、支障なく集団生活を送れる精神状態まで、いきいきと滞りない生活に必要な機能すべての改善をめざすので、認知面や精神面を扱うことも多くなります。対象も高齢者をはじめ、身体や精神に障がいのある人など多岐にわたります。

発達障がいの子どもの成長を支援する

発達障がいの子どもを対象にした作業療法もあります。胎内にいるときから、18歳頃までに受けた障がいが、その人の生活に生涯にわたり影響を及ぼす場合を発達障がいととらえます。ですので、支援の対象は脳性麻痺や、精神発達遅滞、神経筋疾患など多岐にわたります。2004年から施行された「発達障害者支援法」で定義された、自閉スペクトラム症(自閉症、アスペルガー障がい)、学習症(学習障がい)、注意欠如・多動症(ADHD)の子どもたちも支援の対象です。成人のリハビリテーションとの違いは、失った機能を回復するというより、新たに何かの機能を獲得していく、成長を促すための支援をするところにあります。

作業療法士の活動の場は広がりつつある

作業療法士は国家資格であり、全国に約7万人います。しかし、発達障がい領域の専門家はその約3%と、とても少ないのが実情です。一方で、2007年には、義務教育の場で障がいの子どもの教育を行う「特別支援教育」が学校教育法に組み込まれ、一般の学校現場へも作業療法士の活動の場が広がっています。子どもを対象とする作業療法士の必要性は今後も高まっていくでしょう。

高校生・受験生の皆さんへのメッセージ

私が作業療法士になったのは、高校3年生のときに見たパンフレットがきっかけでした。お年寄りと作業療法士が一緒に折り紙をしながらリハビリテーションをしている写真が載っていて、小さいときから手先を動かす仕事が大好きだった自分が好きなことを生かせる仕事だとひらめいたのです。
作業療法は、病気や障がいによって生活に不自由を感じている人が対象です。そうした人々の生活が改善されることに喜びを感じられるなら、あなたに向いていると思います。興味を持ったら、ぜひ首都大学東京の作業療法学科をめざしてください。


夢ナビ編集部監修

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