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竹井 仁 教授

竹井 仁 教授

健康福祉学部 理学療法学科
竹井 仁 教授

キーワード:
MRI, 超音波, 画像

人体を詳しく調べ直すことが、正しい治療の第一歩

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常識は正しいと限らない

医学の常識は意外と古く、1940~1950年代に確立した考えがいまだに定説とされているケースがあります。しかし当時と現在では、検査や測定に使う機器の性能がまったく異なります。当時、関節の動きを調べようとしたら、体表にテープなどを貼り付け、角度や変化を観察するのが精一杯でした。MRI(磁気共鳴画像)や超音波診断装置と違い、この方法では体内のことはわかりませんから、大きく動くとみなされた関節が実はほとんど動いていないといったことも珍しくないのです。

最新技術によりわかったこと

例えば足のももを上げるときの、股関節と骨盤の動きの場合、長年、大腿骨が3、骨盤が1の割合で動くと考えられていました。しかしMRIで調べた結果、片足で1/11、両足を一緒に上げても1/6しか骨盤は動いていないことが明らかになりました。あるいは皮膚の下にある筋膜の場合だと、この動きは可視化できなかったこともあり、治療や施術においておろそかにされてきました。しかし超音波を用いた検査を行うと、筋膜の滑りを良くすることが筋肉の動きの改善に繋がるとわかり、さらにエラストグラフィーという検査をすれば組織の弾性を画像化できるため、筋膜リリースや筋のストレッチによりどれだけ筋肉の血流が変化したかを解析することもできます。

同じ痛みでも原因は違う

なぜ人体を詳しく調べる必要があるかというと、人間の関節や筋肉は複雑に絡み合っているため、同じ痛みを訴えていても原因は同じとは限らないからです。筋膜、筋肉、関節、神経、リンパ、あるいは静脈の流れと、可能性は多岐にわたります。どこに原因があるのかを突き止めてから治療を行わないと、例えばマッサージなどにより症状が改善したかに見えても一過性のもので、抜本的解決には至らないのです。痛みを取り除くだけでなく、痛みの原因となった姿勢や動きを評価して再発を防止するための指導を行い、エクササイズやホームプログラムを組む、そこまで行ってこそ、真の治療だと言えるのです。

正しい姿勢を身につければ肩こりや腰痛は防げる

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子どもの肩こりや腰痛は根深い

1990年代後半に生まれた子どもとその親世代では、明らかに体の作りが違います。まず子ども世代は幼い頃から長時間、じっと机の前で勉強する癖が付いていますから、どこか動きがこぢんまりしています。例えばバンザイのポーズをするのでさえ、どこか小さくなる傾向があるのです。また運動不足のため筋肉が硬く、小学校高学年や中学生時から肩こりや腰痛を訴えるケースも多いです。そのまま成長すると、筋力の落ちてくる30代後半から慢性的な肩こりや腰痛を抱えることになります。単に座る、立つといった基本姿勢が崩れ、筋肉もインバランスな成長をしているため、親世代が訴えるような肩こりや腰痛に比べると根が深く、より治すのが大変だと言えます。

勉強の合間に全身運動を

ずっと同じ姿勢でいると、関節はその形に適応していきます。血流も悪くなるため、足のむくみや冷え性の一因にもなります。それを防ぐためには、勉強の合間に体を動かすことです。目安としては、30分に1回程度、ただ座って伸びをするだけでなく、全身を可動域の限界まで動かすことが大事です。動かしているうちに、関節の可動域は広がっていきます。実は関節自体はそこまで動くようにできていて、脳が勝手にブレーキをかけているのです。ストレッチの目的とは関節を軟らかくすることよりも、脳のブレーキを外してプログラムを書き換えることにあるとも考えられています。

正しい姿勢や動きは模倣から

さらに、早い段階から正しい姿勢や動きを身につけることも大事です。その有効な手段として挙げられるのが観察や模倣で、人間は目で見た動きを取り入れることができるのです。これはスポーツにも応用でき、良いプレーを見た人の方が競技の成績が良くなるというデータもあります。ただし、正しく模倣できているかを第三者にチェックしてもらうことが必要です。また見たらその後しばらく時間を空け、脳内でイメージを固めてから模倣した方がより効果が上がります。

高校生・受験生の皆さんへのメッセージ

現代の風潮には、自分の殻に閉じこもりやすい人が多いという点があります。しかし、それでは限られた知識しか得られません。あなたはぜひ広い視野を持ち、さまざまな人の話に耳を傾け、取り入れるべきところは積極的に取り入れて、自分の成長に生かしてほしいと思います。また多くのことを学ぶうち、常識と考えられていたことに疑問を抱くこともあるでしょう。その気持ちは非常に大事です。ほかの人にも協力してもらいながら、身につけた知識を生かし、間違った常識を最新の常識に塗り替えていってください。


夢ナビ編集部監修

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