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新田 收 教授

新田 收 教授

健康福祉学部 理学療法学科
新田 收 教授

キーワード:
脳性まひ, 理学療法, 赤ちゃん

いろいろな理学療法と作業療法の違い

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腰や首の痛みをとるには

アメリカやオーストラリアでは、理学療法士が自分のクリニックを開設することができます。その目的の多くは腰痛や肩こりといった患者さんの痛みを軽減させることにあります。
背骨は周りの筋肉によって支えられています。人間の腰や首は、胸に比べてとても自由に動かせるようにできています。若いときはいいのですが、高齢になったりスポーツで使いすぎたりして筋肉が疲労すると、背骨を支えきれず故障してしまいます。それを治したり予防したりするには、背骨のすぐ周りの筋肉を鍛えることが効果的です。この筋肉を深部筋肉もしくはインナーマッスルと言います。

インナーマッスルを鍛える装置

首にも同じことが言えます。そこで、首の骨のすぐ周りにある筋肉を鍛えることが重要になります。うなずくような動きをすることで首の深部筋肉を鍛えることができます。こうした運動で、肩こりや首の痛みの軽減が期待できます。人間の体を輪切りにするMRI画像を撮影してみると、この方法で首のインナーマッスル(深部筋肉)が鍛えられていることが確認されています。

理学療法士と作業療法士の境目

本来理学療法とは、痛みに対すること以外に、起きたり立ったり歩いたりといった大きな動きを扱うことが多い分野で、基本的にはあまり道具を使うことはありません。むしろこうした道具の開発は、作業療法士の仕事です。作業療法は体が不自由になった人がスムーズに生活を送れるよう、服の脱ぎ着や洗顔、食事、家事といったさまざまな作業ができるように手助けする分野です。
作業療法は、もともとはうつ病など精神疾患の患者さんを対象に、手芸や畑仕事などの作業を通して治療することを目的として始まり、徐々に精神疾患だけでなく体の不自由な患者さんにも応用されるようになったという経緯があります。本来遠い場所にあった理学療法と作業療法の領域ですが、こうした経緯により、最近ではその境目があいまいになってきつつあります。

脳性まひの子どもの発達を手助けする理学療法とは

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脳性まひ児の運動パターン

脳性まひ児とは、母親のおなかにいるときから生後4週目までに脳に何らかの損傷を受け、運動機能に問題の生じた子どものことです。赤ちゃんが1歳までの間に寝返りを打ち、はいはいをし、立てるようになります。これは本能的な体の動きの中で育てられます。特に意識しなくても姿勢を保てるのは平衡感覚のおかげです。脳性まひ児はその感覚が弱く、限られた方法でしか体を動かさないために運動機能の発達が遅れてしまうのです。
脳性まひ児に原始的な体の使い方がよく観察されます。例えば、赤ちゃんは弓矢を引くような体の動きをすることがありますが、これは原始的な全身の動きの1パターンです。普通はそこからだんだん複雑な動きをするように成長していきますが、脳性まひ児は最初の段階でとどまったままなので、この運動パターンから抜け出せずなかなか他の動きができないのです。

理学療法士は何をするか

そこで理学療法士は、赤ちゃんがひとつの運動パターンにとらわれないように、意図的にいろいろな動きをさせます。また、ずっと同じ姿勢を続けていると、筋肉の発達がかたよってしまいます。そこで自ら座れなくても、体を起こして座らせたり、手足をひとつの運動パターンとは逆方向に動かしたりと、いろいろな経験をさせることで、運動の発達を手助けします。家でできる運動を保護者にアドバイスすることも大事な仕事です。

小児の運動発達を理解することの意味

赤ちゃんがどうやって歩けるようになっていくのかを知っていることは重要です。また、脳血管障害などで突然歩けなくなった高齢者が再び歩けるようになる過程は、赤ちゃんが歩けるようになる過程になぞらえられます。また赤ちゃんの運動発達過程は、アスリートのトレーニング開発のヒントになります。
そのため、小児の理学療法は理学療法全般の基礎のひとつとなっているのです。しかし、まだ脳性まひ児の脳の発達の過程は明らかになっていないことが多いので、これからの研究が待たれます。

高校生・受験生の皆さんへのメッセージ

理学療法士は長い時間患者さんと向き合う仕事です。そうすると、技術もさることながら、人と接するのが苦にならないことが大事です。しかも、患者さんにはいろいろなタイプの人がいるうえに、病気のため普通の状態よりも少し元気をなくしている人が多くいます。そういう人を受け入れ、精神的にも支えて元気をあげられるような、「人が好き」という人が向いているのです。実習で現場に入ると、技術面よりもそういう部分でまいってしまう人もいます。お年寄りに会ったら「お孫さんは元気?」など、世間話が自然にできる人ならば大丈夫です。


夢ナビ編集部監修

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