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新井 光男 教授

新井光男 教授

健康福祉学部 理学療法学科
新井光男 教授

キーワード:
PNF(固有受容性神経筋促通法),運動, 脳

スポーツの効果的な動きを実現する運動療法「PNF」

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理学療法で使われる「PNF」って何?

1940年代の後半に、アメリカの医師と理学療法士が共同で開発した運動療法が、「PNF(固有受容性神経筋促通法)」です。簡単に言えば、目を閉じた時に体の動きを教えてくれるセンサーを刺激することで、運動神経を脳・脊髄レベルで刺激して筋活動を活発にする療法です。現在では、脊髄性の疾病だけでなく、中枢神経疾患・末梢神経疾患・スポーツ傷害(外傷・障がい)なども対象となります。

スポーツにおいて効率的な動きを生み出す

PNFはらせん的および対角線的な特徴をもったPNF運動パターンに抵抗や伸張刺激を加えながら行う運動療法です。PNF運動パターンとは、野球のピッチングやテニスのサーブ、バレーボールのアタックといった3次元的な運動パターンです。PNF運動パターンは静的な肢位を保つだけでも脊髄レベルだけでなく脳活動の覚醒が生じることが日本の研究グループにより1970年代に明らかにされました。最近では、PNF運動パターンはほかの直線的な運動パターンと比較し、効率的にパフォーマンスが向上することが明らかになってきています。球技や武道の動きの中で、最大限に力を発揮する時の運動パターンを分析して集大成されたものがPNF運動パターンなので、PNFをうまく活用すると効率よい動きができ、パフォーマンスの向上が期待できる場合があります。

PNFと脳との関係を解明する

運動パターンを分析するにあたって欠かせないのが脳の動きです。運動によって、脊髄や脳が刺激されます。PNFの脳への影響はfMRI(機能核磁気共鳴断層装置)という装置を用いて研究が進められています。抵抗の方向や抵抗量の違いによる脳の血量の変化を研究することにより、PNFが脳に及ぼす効果を検証し、効率的な運動療法を開発することができるのです。これらを体系化することができれば、運動の効率をより高めることができるでしょう。

運動前のストレッチはNG? 脳と体のメカニズムに基づく理学療法

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ストレッチが脳と体に及ぼす影響とは?

「十分にストレッチをしたのにアキレス腱を痛めてしまった」、という話を聞いたことはありませんか? 実は運動前に持続的なストレッチをするのは間違いなのです。ストレッチをすると脊髄レベルで抑制が起きて、筋力を発揮する能力が低下してしまうからです。では運動前には何をすればいいかというと、ラジオ体操のようなダイナミックな動きをしてウォームアップにより体を温めることが有効です。

脳は運動パターンによりプログラミングされている

「脳が覚醒しているときには、筋肉は力を発現しやすい状態である」ということや、「骨折などにより痛みや筋力が低下した部位があるときは、脳はその部位を使わないようにプログラム化し、目的の行為を行う」こともわかっています。その変容されたプログラムにより二次的な障害が生じる可能性があります。二次的な障害が起きないように痛みを改善し(動いても痛くないようにする)筋力を効率的に強化し、脳のプログラムを正常化する方法が必要です。その方法としてPNFという理学療法の研究が行われています。

動く部分を使って動かない部分に働きかける

腕の骨折により長く固定されていて痛みがあり動かせないという場合があります。このような場合に、ストレッチをしないで下肢や体幹などほかの動く部分に抵抗をかけながら運動させ、動かない部分が動くようにする、「モビライゼーションPNF」という新しい理学療法が開発されました。モビライゼーションPNFにより、痛みを抑制し、目的の部位の活動性を増すことが脊髄・脳レベルで臨床的に効果があることがわかってきました。
つまり、昔は運動する前に持続的なストレッチにより筋をストレッチすることが有効とされていましたが、今ではダイナミック(動的)な運動を行うことでパフォーマンスが高まることが明らかになりました。そのための有効な方法を科学的に模索していくことが、さらなる運動のパフォーマンスの向上・傷害予防・効率的な筋力強化につながるのです。

高校生・受験生の皆さんへのメッセージ

自分の興味があることが職業と結びつくのは幸運と言えるでしょう。ただ、興味があるからといって適性がある、成功するとは限りません。しかし、自分の興味ややりたいことを一つの基準にすることは大事だと思います。
自分の能力や将来設計に不安と希望が混在しているのが高校生の時期だと思います。チャレンジすることで自分の適性が発見でき、気づくことは多くあります。あなた自身の得意な分野を発見し、自分の可能性を追求していってください。


夢ナビ編集部監修

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