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山村 礎 教授

山村 礎 教授

健康福祉学部 看護学科
山村 礎 教授

キーワード:
看護学, 精神科, 臨床心理学

精神看護学とは、患者の心のケアを広く考える新しい学問領域

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増加し続ける「心の病気」

うつ病や統合失調症といった心の病気(精神疾患)のある人は、現在、日本でも増え続けています。自殺者の数は年間3万人を超え、そのうちの8割の人が、なんらかの精神疾患を抱えていたという調査結果もあります。これまで「がん、脳卒中、心臓病、糖尿病」については、国で「4大疾病」と位置づけ、重点的に対策をとってきましたが、2011年、厚生労働省は、これに「精神疾患」を加え、「5大疾病」として取り組む方針を決めました。心の病気は、現在の日本社会にとって、喫緊の問題の一つだと言えるのです。

看護師も心のケアの知識が必要

こうした社会状況を背景に、看護学の領域でも、1900年代後半から「精神看護学」という新たな学問領域が成人看護学から独立しました。「精神科の看護学」では、精神疾患を発症して精神科を受診する人に対する看護について学び、「精神(こころ)の看護学」ではさらに幅広く、例えば内科や外科で長期入院をしている患者やその家族の、心の健康面なども対象とします。看護師は、内科や外科の担当であっても、患者の身体的なケアだけでなく、心のケアのための知識や技術も求められる時代なのです。地域で働く保健師も同様で、近年では、地域住民の心の問題に対するケアが仕事の多くを占めていると言われます。そのため、従来の看護の知識に加え、精神医学や臨床心理学といった専門知識も身につける必要性が高まっています。

誰もが受診しやすい体制作りへ

現在、一年の内にうつ病を経験する人は380万人以上であると考えられています。実際に病院で受診するのは、そのうちのわずか100万人程度です。治療を受けることなく自死を選んでしまう、そんな人を一人でも減らすためにも、「気分が落ち込む」「感情がわいてこない」という場合に、誰もが受診しやすい医療体制を整え、社会の精神健康度を上げることが今後の大きな課題です。それにともない、看護が担う役割もますます重要になっていきます。

心の病気になったとき、利用しやすいサービス提供体制を作るために

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心の病気では病院に行きづらい?

風邪をひいたり、けがをしたりしたとき、たいていの人は病院で受診し、治療を受けます。ところが心の病気の場合はどうでしょう。風邪やけがの場合と同様に受診するでしょうか。現在、日本では、年間380万人以上がうつ病にかかるとされていますが、実際に病院で受診するのは、そのうちのわずか100万人程度です。こうした現状を受け、より多くの人が安心して受診できるよう、さまざまな対策が進められています。

身近な人の体験談が受診につながる

例えば、最近の大学生について調査したところ、半数程度の学生はなんらかの精神的、心理的問題を抱えているようです。大学には、「保健センター」という学生の健康管理を行う部門があり、精神衛生相談員が心のケアを行っていますが、学生の多くはその支援システムを利用しにくいようです。というのも、風邪なら、薬をのんだり注射をすれば治ると経験的にわかりますが、心の問題の場合、相談、受診してどういう効果があるのか、実感がわかないからです。このような場合に受診を促すきっかけとなるのが、身近な人からの「口コミ」です。調査によれば、学生は心の病を自覚したとき、親より友人に相談する傾向にあり、友人の中に心の援助を専門的に受けたという人がいて、「話を聞いてもらったら、心が軽くなった」などという話を聞くと、自分も利用してみようという気になります。さらに、友人に保健センターなどを利用してよかったという人がいると、いない場合より4、5倍ほど保健センターの利用率が高いことがわかりました。

気軽に受診できる体制を整える

こうした口コミの輪を地道に広げていけば、心の病気になったら受診しよう、という意識の改善にもつながります。事実、20年ほど前は、精神疾患の発症から通院まで2年近くかかるケースが多く見られましたが、最近では、早ければ問題が起きて24時間で受診する人もいます。精神科のサービスの効果を一般に認識してもらうことが、社会の精神健康度を上げる底力にもなるのです。

高校生・受験生の皆さんへのメッセージ

看護学科の場合、高校時代に心理学や福祉などの分野にも興味を持ち、「心のケアをしたい」と入学してくる人が多いです。実習の現場で、患者さんとの心の交流を体験することで、「心のケア」についてのイメージや看護の実感もわき、大きなやりがいを感じることができます。コミュニケーションが得意である必要はありません。日常の人間関係の中で、ちょっと合点がいかないなと思ったり、それがなぜなのか調べてみたくなったりする、そんな人にぜひ来てほしいと思います。


夢ナビ編集部監修

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