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山本 美智代 准教授

山本 美智代 准教授

健康福祉学部 看護学科
山本 美智代 准教授

キーワード:
障がい, 家族, コミュニケーション

障がいのある子どものきょうだいとして

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障がいのある人の家族に目を向けた看護

生まれたときや幼い時から重い障がいのある子どもがいます。看護の分野では10年あまりの間に、障がいのある本人だけでなく、その家族にも目を向けるようになってきました。特に共に成長する健常な「きょうだい」に関心が向けられるようになりました。ここではインタビュー調査などからわかってきた、「障がいのある子どものきょうだい」について紹介します。

「いい子」すぎるきょうだい

幼い頃から、家事手伝いや障がいのある兄弟姉妹の世話を優先するきょうだいが目にとまることがあります。このようなきょうだいは、自分の気持ちを表に出さず、保護者から求められる役割を演じるため、周囲からは「いい子」に見えます。しかし実は、保護者の大変さを感じとり、我慢している子どもが多いのです。
きょうだいが成人し自分らしさを出せるようにするためには、そうしたきょうだいの成長にも目を向けることが必要です。例えば、ちょっとした買物や映画など「きょうだいと保護者だけの時間」を持つことが大切になります。そのためには、障がいのある子どもを一時的に預ける場所が必要ですが、日本にはまだあまりありません。きょうだいのためにも社会の力が必要なのです。

複雑に揺れ動く、きょうだいの気持ち

幼い頃は、兄弟姉妹の障がいを当たり前のこととして受け止めていたきょうだいにも、小学校高学年くらいから、障がいのある兄弟姉妹のことを友だちに言えなくなる時期がくることがあります。社会の目を感じ取るようになり、その社会の目に同調するように、障がいのことを隠したり、うそをついたり、一緒に出かけなくなるのです。
ところが、高校生から20歳くらいになり、広く社会と関わり、障がいについての理解が深まると、また言えるようになります。つまり、障がいのある兄弟姉妹を自然と受け入れられるのを待つのも大事なことなのです。障がいのある子どもの家族の看護では、このようなことも学んでいきます。

障がいのある子どもを持つ家族の危機的状況を回避するために

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在宅療養で増える家族の負担

現在、日本では重度の障がいのある子どもの約70パーセントが、病院や施設ではなく自宅で生活するようになっています。それにともなって、自宅での介護を担う家族の負担が増えているという現状があります。
重度の障がいのある子どもは、在宅療養においても、人工呼吸器の使用や、のどを詰まらせないためのたんの吸引など、高度な医療的ケアが必要となります。それらのケアを、場合によっては母親などが一人でこなすこともあります。

在宅療養での危機的状況

こうした状況がずっと続いていくと、主な育児者に負担がかかり、冷静に考えることができなくなってしまうこともあります。これは、医療的なケアそのものの負担よりも、むしろ長く続く睡眠不足や疲労などが、精神的にまいってしまう原因となりやすいようです。このような危機的状況を、まわりの人が察知するのは難しいのですが、定期的に通っている病院の看護師の中には、意識的に保護者の言動を観察し、危機的な状況を見抜ける人もいます。

看護師に求められる異変を察知する力

このような看護師は経験が長く、ちょっとした世間話の中からも保護者の変化を気に留めます。それはある機器で測定して数値で表せるようなデータではなく、その人に対してあらかじめ持っている印象などの主観的な観察に基づくものです。また、病院での子どもの服の乱暴な脱がせ方などにも、保護者の気持ちが反映されるので、危機的状況を見抜く一助となります。こうした経験に裏打ちされた看護師の優れた観察眼が危機的状況を察知し、状況を改善するための糸口になるのです。
在宅療養を行う保護者の心の内はブラックボックスのようなもので、外からうかがい知ることが難しいだけでなく、強引に踏みこもうとすると心を閉ざされてしまう恐れがあります。看護師には、タイミングをはかりつつ、何気ない会話の中から、心の内を解き明かしていくコミュニケーション能力も求められているのです。

高校生・受験生の皆さんへのメッセージ

看護の道を志すあなたに心がけてほしいことは、人と対面してコミュニケーションをとることです。例えば、何か友だちに用事があるときにSNSを使って連絡する人が多いと思いますが、家が近ければ、友だちの家まで出かけて行って用事を済ませるほうがいいと考えます。家に行けば、ご両親や祖父母など、自分と異なる年齢の人と話すことができますし、友だちと家族との関係を垣間見ることもできます。人と対面してのコミュニケーションによって、柔軟な思考を育てることができるからです。


夢ナビ編集部監修

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