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渡辺 隆裕 教授

渡辺 隆裕 教授

都市教養学部経営学系 経営学コース・経済学コース
渡辺 隆裕 教授

キーワード:
オークション, ゲーム理論, ビジネス

さまざまなオークションを可能にするゲーム理論

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オークションの価格設定にも使われるゲーム理論

ゲーム理論とは、将棋や囲碁のように相手と自分の意思決定が相互に作用する状況を研究する理論です。ゲーム理論が使われる分野は、ビジネスや政治から生物の進化の説明までさまざまですが、オークションでの販売方法や価格決定の過程を理論化するためにも使われています。

希望額で入札できるセカンドプライスオークション

オークションには、入札価格が公開されている公開オークションと、非公開の封印オークションがあります。
封印オークションには、一番高い値段を示した人が、その値段で落札できるファーストプライスオークションのほかに、一番高い値段を示した人が、二番目に高い入札価格で落札できるセカンドプライスオークションというものがあります。このセカンドプライスオークションは、ゲーム理論に基づいて設計された入札方法です。
セカンドプライスオークションでは、例えば、ある商品に対する自分の評価額が5000円で、その時の自分以外の入札額の最高額がa円だった場合、a円が5000円より大きければ、5000円以上払うことになるため、落札しない方が得です。一方、a円が5000円より小さければ、落札した場合、支払い額は5000円より小さくなるため、落札した方が得です。自分の入札額は、自分の支払う額ではないのでセカンドプライスオークションでは、自分が妥当だと思う価格5000円で入札をすることが、一番よい入札になるのです。

ゲーム理論で複雑な販売方法を可能に

このほか、複雑な販売方法での価格設定にもゲーム理論が使われています。例えば、コンサートチケットは、2枚セットで買いたいという人もいれば、1枚だけ欲しいという人もいます。そうしたいろいろなパターンの買い方ができるオークションの仕組みもゲーム理論に基づいて設計されており、アメリカでは、電波の使用権や電力の公共入札などでも活用されています。

ゲーム理論で「Win-Winの関係」を導く

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コンビニの出店戦略を考える

ファミモとセレブという2つのコンビニが、A駅かB駅の前に出店を考えているとします。見込まれる店舗利用客数は、A駅が600人、B駅が300人で、ファミモとセレブが同じ地域に出店した場合、ファミモがセレブの2倍の客数を獲得できるとします。この時、セレブは、どちらの駅前に出店をした方が得でしょうか?
一見すると利用客数が多いA駅が良さそうですが、A駅はセレブの出店にかかわらずファミモの出店が予想されます。そうなると、セレブは、200人しか獲得できません。しかし、ファミモの出店の可能性が低いB駅に出店した場合、全顧客を獲得し300人で、A駅よりも多くなります。つまり、セレブはファミモの行動を考えるとA駅より、B駅に出店する方がより多くの客数を獲得できるわけです。

企業戦略から動物の進化まで、用途はさまざま

このように複数の主体が、その意思決定に関して、相互作用する状況を研究する理論を「ゲーム理論」と言います。ゲーム理論は、上記のような企業戦略のほか、二国間交渉といった政治やゲームソフトの開発、珍しいところでは、動物の進化の分析など、さまざまな分野で使われています。

裏の裏をかき合うことで、双方が利益を得る

ゲーム理論では、相手の出方のパターンを考慮してこちらの出方を考えます。ただし、相手もゲーム理論に基づいて戦略を立てる可能性があるため、ゲーム理論を使っても必ずしも勝てるわけではありません。では、ゲーム理論を使う意義は何なのでしょうか? それは、「双方により利益がある結果が得られる可能性が高い」ということです。
かつてのゲーム理論は、もっぱら「勝つか負けるか」の研究が中心でしたが、近年は、「できるだけお互いが納得できる状態に近づける(=Win-Winの関係になる)」という点に研究の主眼が置かれています。双方がゲーム理論を使えば、お互い相手の出方をふまえて自身の戦略を立てるため、その繰り返しによって、双方により利益がある結論を導きやすくなるのです。

高校生・受験生の皆さんへのメッセージ

ゲーム理論は、企業同士が競争をしたり、国と国が交渉したりするのを将棋や囲碁のような「ゲーム」ととらえて分析する学問で、経済学、経営学、政治学から生物学まで、さまざまな分野で使われています。応用範囲が広く、とても面白い学問ですので、あなたがこの研究に興味を持ち、一緒に勉強してくれることを期待しています。ちなみに、『ゲーム理論入門』という本も書いていますので、もし興味があれば、一度手にとって読んでみてください。


夢ナビ編集部監修

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