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松田 千恵子 教授

松田 千恵子 教授

都市教養学部経営学系 経営学コース・経済学コース
松田 千恵子 教授

キーワード:
経営, 企業, コミュニケーション

1+1を3にも4にもする「グループ経営」

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幅広い分野をカバーする系列会社を傘下に持つ企業

世界各国には、本社の傘下にいくつもの系列会社を持って「グループ経営」を行っている企業がたくさんあります。最も大規模なグループ経営を行っている例としては、発明家として知られるトーマス・エジソンが創業した、電気機器から金融業、軍事産業に至るまで、非常に幅広い分野をカバーする系列会社や事業部門を持つ、米国のゼネラル・エレクトリック社(GE)などがあります。

新しい事業に参入する時の判断の分かれ目

ある特定の技術やサービスのノウハウによって成功した会社が、それらを応用した事業に参入して、グループ経営における事業の多角化を図る例は、しばしば見られます。ただ、その会社の株主たちは、自分のポートフォリオ(株式や有価証券などの資産の組み合わせ)をつくる都合上、多角化が進むと困ることもあるので、反対する場合も少なくありません。企業が新しい事業に参入する際は、それによって「1+1が3にも4にもなるシナジー(相乗効果)が得られるか」「その参入によって本社がうまくポートフォリオを運用できるか」が、判断の分かれ目になります。

グループ経営で大切な3つの「力」

本社が数多くの事業を束ねて運用していくグループ経営では、次の3つの「力」が重要になります。まず、個々の事業を見極め、それ単体でもやっていけるかどうかを判断して経営資源を配分する「見極める力」。次に、新しく始めるべき事業、撤退すべき事業を整理し、各事業がシナジーを発揮できるように働きかける「連ねる力」。そして、強固なグループ理念を本社を中心に謳い上げてグループをまとめる「束ねる力」です。こうした「力」が発揮されるようにするためには、より戦略的で強い意思決定能力を持つ本社と、グループ内での話し合いの場を意識的につくるなどして、コミュニケーションを大切にするための一層の工夫が必要になるでしょう。

あの会社は「AAA」! 企業や国債に与えられる「格付け」って何?

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企業に対する「格付け」とは何か?

経済関連のニュースで、ある企業の「格付け」が「AA」から「A」に下がった、などという情報をよく目にします。この格付けとは、「格付け会社」と呼ばれる会社が、国が発行する国債や、企業の発行する債券などの返済可能性を判断し、投資家が参考にできるように提供する情報のことです。格付けは、最高位の「AAA」から「AA」「A」……「B」などの記号によって表されます。格付け会社は20世紀初頭に登場し、当時から続くムーディーズのほか、スタンダード&プアーズなどの会社があります。

株価と格付けは逆の動きをすることもある

格付け会社が、ある企業の格付けを行う際は、大きく分けて2つのポイントをチェックします。まず、その企業が借金を返済すべき時期に必要なだけのお金を持っているかどうか。次に、返済時期までに必要なお金がなくても、それを補う資産があるかどうか。これらを見定めるためには、その企業の事業の将来性や周囲の環境などを詳しく分析する必要があります。こうした分析は格付け会社によって結果が異なる場合もあり、格付けの判断が分かれることもあります。また、企業の株価と格付けは同じ動きをするとは限りません。格付けの判断はあくまでも期日に借金が返せるような安定した経営が行われているかどうかという視点に基づきますから、急速な成長が見込めるとして株価が上がっても、そのために多額の借金が必要となれば格付けは下がってしまう場合もあるのです。

金融危機を引き起こさないようにする工夫が必要

2008年にリーマン・ショックという世界的な金融危機の原因となったのは、米国などでサブプライムローン(低所得者向けの住宅ローン)の証券化商品が、格付け会社から高評価を与えられていたにもかかわらず、実際にはローン支払いの延滞や債務不履行の問題が発覚したことでした。世界経済を円滑に動かす上で、格付け会社は不可欠な存在ですが、こうした問題を引き起こさないようにするための制度上の工夫もまた求められているのです。

高校生・受験生の皆さんへのメッセージ

「経営戦略」とは、会社の将来図をつくるためのものですが、ここで用いるさまざまな知識は、大学で学び、社会人になった後、どういう人生を生きていくのかという、あなたの将来を考える際にも大いに役立ちます。どんな将来が考えられるのか、それをどう分析すればいいのか、自分の強みは何なのか、弱みをどう克服するのか、そういうことを会社について考えているのが経営戦略なので、個人にも応用できる非常に面白い学問だと思います。興味を持ったら、ぜひ一緒に学んでみましょう。


夢ナビ編集部監修

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