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長瀬 勝彦 教授

長瀬 勝彦 教授

都市教養学部経営学系 経営学コース・経済学コース
長瀬 勝彦 教授

キーワード:
無意識, 選択, 意識

迷うのも後悔するのも「人間だから」

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迷わずに判断できたら

人生は判断の連続です。特に大きな問題のとき、的確な判断をズバッと下せたら、と思いませんか? 迷いも見せず、素早く判断し、決して後悔しない……そんな人を見たり話を聞いたりすると、そうなれたらとだれしも思うのではないでしょうか。悩みの多い年頃であるあなたなら、なおさらでしょう。
あるベテラン消防士のインタビューで、極限の火事の現場に踏み込んで次の行動を決めるときに、数ある選択肢をどう評価しているかと聞かれて、「評価なんてしない。なすべきことは自ずとわかる」と答えたそうです。豊富な経験を積めばそんな境地にさえ至れるのです。
そんな人間の判断には無意識が大きく関わっていることが現在ではわかってきています。しかし、無意識に任せてしまえば万事片がつくわけではありません。無意識には落とし穴もあります。

心理の癖を知る

クレーンゲームをしていてなかなか景品が獲得できないとき、「いくつも100円玉をつぎ込んだんだから元を取るまではやめられない」という気持ちになりがちです。もし次に景品が取れたとしても、それで今までの失敗が帳消しになるわけではないのに。今まで費やしてきた努力をあきらめきれない、という心理はあなたにも覚えがあるでしょう。
これは「埋没コストの錯誤」と言いますが、このような落とし穴はたくさんあります。人間の意思決定の癖を知ることで、「無意識はこちらを選べと言っているが、これはいけない道だ」と理性に助けられて落とし穴に落ちないようにすることができるでしょう。
人間には「判断力を高めたい」という欲求があります。しかし、完璧にうまくいくことなんてありません。後悔したくない気持ちはわかりますが、「あのとき別の選択肢を選んでいたら」とイメージする力があるから後悔できる、とも言えるのです。そして、それができるのは人間だからです。迷いも後悔も、人間だから感じるものです。そう知って、割り切ることも重要でしょう。

お昼も進路も決められなーい!

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ど・れ・に・し・よ・う・か・な

あなたはコンビニでお昼ごはんを買おうとしています。棚にはお弁当やおにぎり、サンドイッチが並んでいます。さあ、あなたは買うものをどのようにして決めていますか? 頭の中を(お弁当はおいしそうだけれど値段は一番高い)、(おにぎりは安いけれど栄養のバランスが悪い)、(サンドイッチは値段的にはいいけれどここのは味がイマイチ)などなど、いろいろな思いがめぐるでしょう。
こういうとき人間は、お弁当、おにぎり、サンドイッチという選択肢の「属性」(値段、味、好み、栄養など)に点数をつけ、その点の最も高いものを選んでいるのだという考え方があります。この考え方に基づいた意思決定支援ソフトもたくさんあります。
しかし、そのように点数づけをした結果をあなたに見せ、「さあ、これが一番点数の高い選択肢です。これがあなたの食べるべきお昼ですよ」と言ったとしたら、あなたはきっとこう思うでしょう。「それはそうかもしれない。点数が一番高いんだから。でも……、なんだか納得できない」と。

意識と無意識の折り合いをつける

このもやもや感は何なのでしょうか。近年の実験で、人間が何かを決定するときは無意識や直観が大きく関わっていて、実はそうして得た結論の方が、数値化で得られた結論よりも正解に近いことが多いということがわかってきています。説明や理由づけをされて「これが正しい決定だ」と説得されても、何だか腑に落ちないときは、無意識がその結論に異議を唱えているのです。
意識は人間が進化の過程でごく最近身につけたもので、まだうまく使いこなせていないようなのです。それに比べて、もっと古くからある無意識は、意識レベルではとうてい処理しきれない量の情報を高速で処理しています。
ただし、すべての決定を無意識に委ねていいというわけではありません。意識と無意識の折り合いをうまくつけていくことが望ましい意思決定と言えるかもしれません。

高校生・受験生の皆さんへのメッセージ

人間、過去のことも現在のことも決められません。また、他人のことも決められません。でも逆に言うと、自分の未来だったら自分で決められるのです。これはとても素晴らしいことです。人生、思惑がはずれてがっかりすることも多いですが、失敗があるから成功が楽しいのです。そして一所懸命やって失敗したことなら、必ず自分の力になるし、充実感も持てるものです。どの選択肢を選べばいいか迷うこともありますが、実は意思決定した時点では何もまだ決まっていません。重要なのはその先の努力です。


夢ナビ編集部監修

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